着物を着るときに「あれっ?!右前?左前?」と考えてしまったことはありませんか。前合わせを間違えてしまうと、大変なことになってしまいます。ときどきしか着物を着ない人でも正しい前合わせを覚える方法がありますので、ここでご紹介します。
Contents
■着物の右前・左前とは?左前に着る時ってあるの?
□着物の「右前」とは?
着物を着るときは、地衿や衿先をもって身体に合わせていきます。その際、着付けるときに下になる右手に持っている身頃が「下前」になり、着付けるとき上になる左手に持っている身頃が「上前」になります。
まとめてみますと…
地衿と衿先に続く、右手に持っている下前を先に合わせる着方が「右前」です。写真や画像で見ると、着物を着用している人の身体側にある身頃が「下前」ということになります。
□「左前」とは?左前で着物を着るのはいつ?
仏教でいう「経帷子」と呼ばれる着物で、亡くなった方に着せる着物の着付けは「左前」で着用します。一般の着物とは、仕立て方も異なる特別の方法で作製されます。自宅では作ることはなくなったかもしれませんが、鋏で布を裁たず布を引きちぎることや、玉留めも返し縫いもせずに縫うなどの決まりがあります。
「経帷子」の衿の合わせは「左前」になります。もし、普段着物を着るときに間違えて「左前」にしてしまうと、死者に着せた経帷子として死装束になってしまうのです。帯も一般の着物は帯端が巻いた帯に横向きに並行になりますが、経帷子の場合は結び目から出る帯端が縦結びに垂直になるようにします。
□「右前」にするのは着物のマナー
このように「左前」で着用してしまうと死装束になってしまうので、「左前」での着物の着用はできません。間違えてしまうと恥ずかしい思いをすることにもなるかもしれません。ですから、着物の着付けマナーとして「右前」で着用するのが和装の正式な着付けであることを覚えておきましょう。
■男女に違いは?浴衣も同じ?
□男性と女性では着物の合わせは変わる?
和装よりも洋服の方が一般的な衣服であるため、洋服において女性の襟合わせと男性の襟合わせが異なることは多くの方がご存じでしょう。そのため、男性の着物の着方も女性と違うのでは?と考えたことはありませんか。
和服の場合は男性も女性も合わせは同じで、男女で左右の合わせ方が変わることはありません。女性の場合は、いつもの洋服と着物で合わせが逆になるため混乱しやすいと言われますが、男性の場合は洋服も和服も「右側」を先に身体側に合わせるのです。
□浴衣は着物と同じ合わせ?
宿泊先の旅館や夏祭り、花火大会など、場合によっては着物よりも着用する機会が多いかもしれない「浴衣」。「浴衣」は元々湯上がりに着る浴衣(よくい)だったこともあり、正装の和服ではないとされています。そのため、もしかしたら「右前」でなくてもよいのかも?!と考える方もいるかもしれませんね。
しかし、実際にはそんなことはありません。浴衣であっても、和装の一部として「右前」で着用します。和服の習慣のない世代の方でも、浴衣を着る機会はあるかもしれないので、意識して着用してください。
まとめ
普段着慣れない和装には、戸惑ってしまったり「右、左、どっちだったかな?」と考えてしまうこともあるかもしれません。しかし、着物着用時のマナーの点でもきれいに着物を着こなすためにも、「右前」になるよう着用することはとても大切です。
正装の着物でも浴衣でも、男性女性問わず、正しい着物の着方を覚えて和の雰囲気を楽しみましょう。