高温多湿な日本の気候では、油断するとすぐ衣類にカビがきてしまいます。湿気を寄せ付けない収納を心掛けることが、大切な着物を守るためになによりも大切です。しかし、最近は着物をしまう和ダンスがない家庭も多くなってきました。和ダンスでなくとも、安心できる着物の収納方法をご紹介します。
Contents
1、着物の収納ケースにはどんなものがあるの?
●これぞ定番!桐の和ダンス
古来着物の収納には「桐のタンス」が最適だといわれてきました。なぜなら、桐は木材なのに燃えにくく、万一火事が起きても着物が無事に残る可能性が高いと考えられてきたからです。実際、戦時中に空襲に遭い、焼け野原に残った桐ダンスから無傷の着物がみつかったというエピソードがあるほどです。これは、桐材が多孔質のため、内部に多く空気を含み熱を伝えにくいという性質があるからなのです。この性質はそのまま「通気性が良い」ということにつながり、カビを寄せ付けず、着物の保管場所に最適であるといわれる所以です。
●洋ダンスの引き出し
和ダンスは持っていないけれど、一般的な洋服ダンスなら持っているという人は多いでしょう。たくさん重ねないように気を付けながら、たとう紙に収めて保管しておくのも安心な保管方法です。
●プラスチックの衣装ケース
あいにく洋服ダンスにスペースがない、という方はプラスチックの衣装ケースに保管するとよいでしょう。ただしあまりたくさん重ねないように底が浅い衣装ケースを選ぶようにするのがベターです。
●たとう紙に入れて棚に置く
着物をたくさん持っている人に多く見られる収納方法が、たとう紙に入れて横に長い棚に重ねて保管する、という方法です。風通しが良いので、カビの心配がなく、おすすめできる方法です。
●着物ハンガーにつるす
お茶や踊りを習っていて、しょっちゅう着物に袖を通すという方には、「着物ハンガーにかけたままクローゼットにしまう」という方法を取る方も多いようです。余裕のあるウォークインクローゼットをお持ちの場合はそのままかけられます。確かにしわの心配もなく、着たいときにすぐ着ることができるというメリットは大きいです。あいにくスペースに余裕がない場合は普通の洋服ダンスの奥の壁面にフックをつけて着物ハンガーをかけるとよいでしょう。
2、おすすめの収納ケースは?
●材質が桐のもの
やはり、なんといっても桐材でできているものをおすすめします。桐材は通気性がよい上に軽いので、女性にも扱いやすい素材です。最近は輸入桐材でできた安価な収納ケースが豊富なのでチェックしてみてくださいね
●底が浅いもの
しわを避けるためには、とにかくたくさん着物を重ねないことです。なるべく底が浅い収納ケースを選び、重ねて保管するにしても2,3枚程度にとどめておきましょう。
3、収納時に気を付けなければならないポイントは?
●着物を収納する前に風を通しておくこと
着物を着た後は必ず着物ハンガーにかけて、1、2日程度風邪を通して湿気を払ってから収納するようにしましょう。
●着物は丁寧にしわなくたたむこと
着物や帯は丁寧に折り目正しくたたみしまっておけば、余計なしわなどはつかないものです。
●刺繍部分は薄紙をあてること
金糸や銀糸刺繍など細工のあるものは薄紙を当て保護しておきます。生地の引っ掛かりを防ぐために必要です。
●輪ゴムを近づけないようにすること
輪ゴムなどゴム製品に含まれる硫黄成分は、近視や銀糸などの金属部分に硫化減少という黒ずみを引き起こす原因となります。
●着物をたくさん重ねないこと
着物や帯を重ねると、重しになって、生地にしわや跡が残ります。また、テカリの原因にもなるので注意しましょう。
まとめ
いかがでしょうか?着物のクリーニング代金はとても高価になりますし、なにより生地を傷めないためにもしょっちゅうクリーニングに出すことは避けたいですね。ご紹介したような収納方法で着物を保管していれば、カビなどの最悪のトラブルは避けられるものです。いつでも気持ちよく着物に袖を通せるように、正しい収納方法を心掛けたいですね。