留袖とは?

結婚式のように格式が高い式に参列する場合、参列者、とくに招待客をもてなす親族には礼装が求められます。そのようなシーンで着用される着物として一般的なのが、最も格式が高い着物だとされる「留袖」。この留袖について基本的な知識を知っておきましょう。

■留袖ってどんな着物?

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留袖とは、振袖の袖を短くして留めた袖(留袖)を持つ着物のことをいいます。留めるという言葉を使うのは、袖を「切る」では縁を切るを連想させるからだと言われています。

留袖は既婚女性が着る着物として最も格が高い着物で、黒留袖と色留袖の2種類があります。留袖は礼装で日常的に着るものではなく、主に結婚式で親族が着用する着物です。親族は参列者を新郎新婦とともに迎える側なので、正礼装か準礼装をするのがマナーなのです。

江戸時代には、結婚して既婚者になった後に振り袖の袖を切って短くしたものを指して「留袖」と呼んでいました。現在の留袖は江戸褄(えどづま)という着物のことを指します。江戸褄は褄(つま)=着物の裾だけに柄取りがしてある着物をいいます。こちらも元はいろいろな地色のものがあり、現在のような黒地一色になったのは明治時代に入ってから。文明開化で西洋文化の影響を受け、ヨーロッパのブラックフォーマルを着物に取り入れたといわれています。

(1)黒留袖とは?

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黒留袖は、黒地の留袖で振袖の中でも既婚者が着用する留袖です。とても格が高いので、着るのは結婚式や披露宴に限られます。着ることができるのは、新郎新婦の母、仲人の妻、新郎新婦の姉妹など、ごく近親者だけです。

現在の黒留袖の仕立てには、比翼地というものが使われるのが一般的です。むかしは、襦袢にさらに白羽二重を重ねてきていましたが、現在は比翼を付けて胴裏と袖裏を省略し、見た目は重ね着をしているような仕立てにすることが一般的です。

黒留袖が既婚女性の正装とされているのは、染め直すことができない黒のちりめんを着ることで色を変えないという誓いを示すともいわれています。

(2)色留袖とは?

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色留袖は、地色が黒以外の留袖をいいます。地模様はあるものとないもの(無地)とがあります。
格の高い留袖を未婚者でも着用できるようにしたものです。つまり、既婚者でないと着られない黒留袖ではなく、未婚者でも既婚者でも着用できる留袖ということになります。

色留袖は黒留袖よりも厳格でなく、家族や近親者の結婚式に着用する格式の高い着物として扱われています。着物の裾だけに柄取りがしてあるのは黒留袖と変わりませんが、地色がカラフルなので、柄や帯との合わせ方で非常に華やかな装いになります。

■留袖のマナー

留袖は第一礼装ですので、いくつかマナーがあります。

(1)黒留袖を着ても良いのは新郎新婦の親だけ?

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黒留袖は既婚者であれば着ることができる着物ですが、実際の結婚式では、新郎新婦の親だけということがよくあります。最近は洋装も多い中、あえて黒留袖を着るかどうかで悩むこともあるようです。

原則として、親族の既婚女性は黒留袖を着ます。兄弟姉妹など特に近しい家族では、新郎新婦の親にならい、黒留袖を着るのが一般的です。一方で、甥や姪、いとこなどの結婚式であれば色留袖を着ても差し支えありません。留袖が礼装であることには変わりなく、お客様を迎える親族側としてふさわしい装いになります。特に、若い親族の場合は色留袖のほうが華やかですから、式に華を添えることになるでしょう。

(2)色留袖は紋の数に注意!

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留袖では「五つ紋」が第一礼装になります。五つ紋とは、背中・両外袖・両胸元に家紋が入っているデザインをいいます。着物には絵柄にも格式がありますが、絵柄の格式よりも紋の数のほうが優先し、紋の数が多いほど着物の格式が高くなります。紋の種類は、五つ紋、三つ紋、一つ紋、無紋の4種類があり、およそ次のような分類がされています。

五つ紋…正礼装
三つ紋…準礼装、結婚式の親族が着用
一つ紋…準礼装、訪問着や結婚式の招待客が着用
無紋…普段着

色留袖は、比翼仕立てをしたものに五つ紋を入れると正装になります。ただし、比翼仕立てをしない場合は準礼装なので、五つ紋はつけません。三つ紋で第二礼装にするのが一般的です。五つ紋を入れた留袖は結婚式以外では基本的に着用できませんが、三つ紋であれば結婚式だけでなく、正式なお茶会やパーティなどにも着られ、着用範囲が広がります。最近では、黒留袖でも「三つ紋」にする方も増えているようです。

■色留袖に紋を入れる場合どこに入れるの?

色留袖・三つ紋の場合は、家紋は背の中央に一つ、両外袖に一つずつ入ります。

まとめ

冠婚葬祭の着物については、地域や家によって細かな違いがあります。フォーマルな場では地域のしきたりや周囲とのバランスも大事です。留袖を着用するときは親戚ともよく相談して、マナーを守った着用を心がけましょう。

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